クリエイティブ:フックド・ラグジャーナル

ラグ情報 2003年

「ラグの日」

 3月15日、ニューヨーク市のアメリカン フォークアート美術館で最初の「ラグ デイ」が開催されました。(ラグの日:すべてがラグのスケジュール)。

 アメリカン フォークアートのエキスパート、美術館の理事でもあるクリスティーナ ジョンソンによる「フックド・ラグの収集について」の講義、シェルバーン美術館のラグコレクション紹介のほかデモンストレーション、展示、ペニーラグについてなどで、アメリカ中から人が集まりました。


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 当日の講義は大富豪のジョンソン家〔ジョンソン&ジョンソン〕コレクションのスライドショーで、彼女の美術館のような住まいは眼を見張るものでした。知的な美意識に心から感嘆させられました。

 アメリカン フォークアートの3大美術館はシェルバーン美術館〔1947年創設〕、フォード美術館(1929年創立)、ロックフェラー フォークアート美術館(1939年創立)などですが特にシェルバーン美術館はキルトと同様、ラグのコレクションでも最も有名です。

 ニューヨークにあるアメリカン フォークアート美術館はオーガニゼイションとしてこれらの美術館の後に設立しました。(1961年創立)

 1930年代から40年代にかけて創立した創設者たちは、いずれもアメリカの黄金時代の富を築いた富豪たちです。誰もフォークアートを評価しなかった時代に日用品を収集し記録を作り、美術館を個人の寄付で創設しました。当時のアメリカの富豪たちの卓越した視点や社会貢献に私たちは多大の恩恵を受けています。

 倹約を旨として家を装飾するために作られたフォークアートが、富豪たちの見識によってハイライトを浴び、歴史を再評価されているのも伝統の浅いアメリカらしいところです。伝統のないアメリカの素晴らしいところは、ユニークなアイデア、表現力を技術よりも評価するところです。

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 フックド・ラグはキルトと同じころに作られ、キルトと同じ様にアメリカのフォークアートを代表する遺産ですが、消耗されてキルトほど数が残っていないこと、評価する人がすくないことなどで、長い間忘れ去られたクラフトです。

 キルトはキルトインダストリーが存在するほど現在は経済的にビジネスが確立しています。しかし、ラグは大衆にアッピールするムーブメントの出足が遅れました。しかし、これから脚光を浴び、社会現象が起こる可能性が残されている唯一の手作りインダストリーです。理由は誰でもが簡単に作れ、これほど自分らしさを表現できるローテックなクラフトもほかにはないからです。

 一つの問題はすでに労働力の安い国で複製ラグが作られ、足置きサイズが40ドル前後で購入できる時代ですから、あくまでも自分で作りたいという意志と、作りあげる喜び、そして創作の表現力のみが価値を高めていくことでしょう。

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是非訪ねたいアメリカのフォークアート美術館

シェルバーン美術館
www.shelburnemuseum.org

 シェルバーンの創設者、エレクトラ ハヴマイヤー ウエブ(Electra Havemeyer Webb)は、富豪者たちの収集といえばヨーロッパのものであった当時、アメリカで作られたものに着眼し、キルトを含む生活用品の展示を始めた美術館です。

 王侯貴族のために一生を掛けて作ったものでなく、暮らしを彩った普通の生活用品が美術館に展示されたのも、“人の上に人を作らず“というアメリカらしい民主的なコンセプトです。

〔両親は砂糖王と言われたアメリカの屈指の富豪、ハブマイヤーです。彼らの集めた印象派絵画は数、バラエティ共に世界最大のコレクションで死後、メトロポリタン美術館に寄贈されました。〕

フォード美術館
www.HenryFordMuseum.org

 ミシガン州のグリーン フイールドに自動車王、フォードの創設したフォード美術館があります。

 シェルバーンが産業革命前の生活美術館とすれば、フォード美術館は同じ時代に一つの発想から、産業革命に導いたアイデア生活用品美術館といえます。始めてフックド・ラグの大量生産用に発案されたフロストのオリジナル ステンシルが残っています。

ロックフェラー アート美術館
www.history.org/history/museums/abby_art.cfm

 ヴァージニアのウイリアムスバーグにロックフェラーの創設したアビイ アルドリッチ ロックフェラー アート美術館(The Abby Aldrich Rockefeller Art Museum)があります。ニューイングランドでは見られないイギリス殖民地時代繁栄したアメリカ南部の暮らしを知ることができます。

 いずれの美術館も訪ねて思うことは、当時の富豪たちのビジョンと生活用品の中に新しいアイデアが彷彿としていることに感動します。

 できたら創設者の住んでいたシェルバーン ハウスに宿泊し、〔1年前に予約しなければなりませんが〕シェルバーン湖に沈む夕日を見ながらの夕食をお勧めします。新天地での壮大なアイデアがなぜこの地に生まれていったかを発見することでしょう。

ニューヨーク アメリカン フォークアート美術館
www.folkartmuseum.org/
 ニューヨークのアメリカン フォークアート美術館は30年前の念願がかなって53丁目、近代美術館の隣に新しいモダン建築の美術館が誕生、ニューヨークを訪れた人は必ず立ち寄ることをお勧めする美術館の一つです。

ラグ・フッキング インフォメーション
www.rughooking.com

写真撮影:小林恵 /フォークアート美術館でのラグの日より

小林恵 ニューヨークジャーナル ライフスタイル クリエイティブ 日米草の根文化協会 読者のご意見箱